https://www.sankei.com/resizer/F33vuMjSjOp5eaTjIrsaKB-nCbE=/0x224/smart/filters:quality(70)/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/RVULAOQLAJNETB4H334HPJHPH4.jpg
次期衆院選へ決意を示した泉代表だが党内の雲行きは怪しい

立憲民主党の泉健太代表が12日の記者会見で、「政権を目指していく政党だから、150議席は必達目標だ。それくらい取れなければ辞任する」と〝決意〟を表明した。

10日の党両院懇談会でも同趣旨の発言をしたというが「クローズ」の発言は対外的に訂正できても、記者会見で表明すれば、訂正は難しい。

立憲民主党は2017年の衆院選で55議席を獲得した。結党直後だったが、15議席からの「躍進」と評価された。一方、21年の衆院選は解散時から13議席減の96議席と敗北した。党創設者の枝野幸男代表(当時)は、責任をとって辞任した。代わって代表に就任したのが、リベラルな党の中でも中道と目された泉氏で、党勢拡大が期待された。

だが、昨年の参院選では6議席を減らした。幹事長が西村智奈美氏から岡田克也氏に交代するなど、新たな執行部はベテラン勢で固めた。

一方、自らの責任を否定して代表の地位に留まった泉氏の求心力は低下した。

その一例が、ガバナンスの緩みだ。4月21日に改正新型コロナウイルス感染症対策特措法が成立し、会見で記者が質問したが、泉氏は回答できなかった。質問はあらかじめ通告されていたといい、泉氏にきちんと伝えられていなかったのが原因のようだ。

先月の衆参補選でも、公認した3候補が全員敗退した。衆院千葉5区と参院大分県選挙区では一時、リードしていたのに逆転された。その責任論は、放置されたままだ。

危機感は〝若手〟にも広がっている。現状を危惧した当選4回以下の衆院議員32人が今月8日、「野党第1党として次の衆院選では、背水の陣で戦う覚悟を決めてもらいたい」と泉氏に提言した。

32人は「次期衆院選で200人以上擁立」「若手候補や女性候補の擁立」などを提言したが、一種の反乱ともいえる。〝場外乱闘〟も勃発した。

泉氏は12日、「出来なかったら辞任。という発想ではなく、立憲民主党の議席を伸ばすという決意と覚悟を示した」とツイッターに書き込むと、蓮舫参院議員が「その場に伝わったとは思えないが、こういう弁明はどうなのか」とのツイートでかみついた。

すると、泉氏は「なぜ同じ党の仲間であり、幹部経験者でもあるのに、こんな投稿をツイッターでされるのか? やめないか」と怒りのツイートを投稿した(後に削除)。

2017年7月に「二重国籍」問題で民進党代表の地位を降り、党分裂の一因を作った蓮舫氏だが、一方の泉氏も党代表の重責を認識していないかのような印象を与える。党勢拡大どころか、立憲民主党の存在意義が問われているのが現状だ。 (政治ジャーナリスト)

https://www.zakzak.co.jp/article/20230517-CBGXCPSCDNMYXG4GPFFTVGLFFY/