尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の広島訪問に先立ち最有力紙・朝鮮日報(12日付)が広島出身の在日韓国人2世、張本勲氏のインタビューを大きく掲載した。彼は日本プロ野球史の大打者で韓国でも〝在日のヒーロー〟として知られている。野球のほか5歳での被爆や家族のことなど広島の思い出が語られていたが、記事の大見出しは「自分の祖国だからいえる…謝れ、金出せといつまで繰り返すのか」だった。

日本のテレビ番組で人気のセリフ「喝!」を韓国向けに発したわけだが、これまでの韓国の対日姿勢を考えるとこれは張本氏にとっても新聞社にとっても異例の勇気ある発言である。

巨人時代の張本選手は広島カープファンから〝憎らしい〟といってひどくヤジられた。ただプロ野球でいえば、草創期の韓国プロ野球には年間30勝を挙げて歴史に名を残した福士敬章(ひろあき)投手ら広島カープ出身の在日韓国系が何人かいて、彼らの貢献も見逃せない。

広島と韓国の縁で忘れられないのは韓国の自動車メーカー、起亜がマツダ(旧・東洋工業)の支援で大きくなったことだ。協力関係はオート三輪にさかのぼり、また「ボンゴ」はバンの代名詞にもなった。尹大統領は原爆犠牲者慰霊碑の参拝もいいが韓国の自動車産業発展に寄与したマツダも訪問してあげてください。(黒田勝弘)

https://www.sankei.com/article/20230520-XODUWY4YYNJFRMT4GYJ4CJ7VS4/