韓国ではデマなどウソ話を〝怪談(ケダム)〟というがこのところ〝フクシマ怪談〟が話題だ。対日関係改善に積極的な尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の足を引っ張る野党勢力が、福島第1原発の処理水問題をネタに「尹政権は国民の命と健康を無視し日本のいいなりになっている」と世論を扇動している。

韓国政府の視察団の結果に関係なく尹政権たたきが目的の野党など反日勢力は今後とも〝怪談〟に精を出すだろう。問題は世論とマスコミだが、KBSをはじめテレビは「科学より心理が重要」とばかり〝怪談〟に加担する風評拡大報道を繰り返している。視察団の日本滞在中も南部の釜山(プサン)の水産市場で「このままでは商売できなくなる」などと語らせていた。

フクシマ怪談とは、処理水は海流に乗って太平洋を東に流れ、カナダ・米国沖から日本沖に戻ってきて、それがさらに西に向かい九州沖を経ていつか韓国の釜山沖に入り込み魚を汚染するから「怖い!」「命にかかわる!」というものだ。

先年、米国産牛肉反対の激烈な反米・反政府デモは「韓国人の体質は狂牛病にかかりやすい」というテレビ番組の〝怪談〟がきっかけだった。今回、保守系メディアや与党陣営は「まず科学的判断が重要」と抵抗しているが、日本がらみだけに世論はどれだけ冷静になれるか。(黒田勝弘)

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