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「入管法改悪反対!」と声を上げる伊礼さん(前列右)とミョーチョーチョーさん(同左)ら=川崎市川崎区で

 参院で審議中の入管難民法改正案の廃案を求める「入管法改悪反対アクション」が二十七日、川崎市内で行われた。約四百人の参加者が「外国人も人間だ!」「難民の送還ではなく保護を」などと記したプラカードを掲げ、約一時間にわたり、市役所周辺やJR川崎駅前をデモ行進した。

 交流サイト(SNS)でデモへの参加を呼びかけたのは、川崎市多摩区の東洋大四年伊礼悠花さん(21)。「全ての人が当たり前に生きていけるように、ヘイトスピーチを止め、多文化共生を進める川崎のまちから、入管法改悪を止めたい」と企画した。

 コロナ禍の大学入学でリモート授業が続く中、小田原市で耕作放棄地を使った再エネ推進や脱原発に取り組む人に出会い、社会運動に関わるようになった。「福島原発事故では県外に避難した人たちが『放射能帰れ』と拒まれた。私たちだって住む場所を追われて、難民になり得たかもしれないのに」。難民の問題と根源は同じに思えた。

 ミャンマーから逃れた少数民族ロヒンギャのミョーチョーチョーさん(37)との出会いも伊礼さんを後押しした。普段は陽気な人が、ミャンマーに戻れば再び拷問を受けるとおびえ、「僕は送還されるようなら自殺する」と話したという。「人をここまで追い込むって、どういう世の中なの」。大学の先生に相談し、法案の問題点を授業で説明したり、ビラを友達に配るなどしたりし、問題への無関心を変えたいと努めてきた。

 地元で迎えたこの日のデモ。「これは命の問題。政府は外国人を置き去りにした法案を出しても、うちらは応援する仲間だよ、と伝えたかった。一歩踏み出せて良かった」と笑顔を見せた。(安藤恭子)

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