「ちんちくりんのつんつるてん」。こんなことばではじまる歌が流行した。そのタイトルが「じんじろげ」である。オノマトペ的な一種のことば遊びで、歌詞の意味はまるでない。また、その意味不明なところがおもしろがられ、ヒットにつながった。

歌ったのは、後に「白い蝶のサンバ」で再ブレークすることになる森山加代子である。その昔は意味のないことに寛容だった。大正から昭和にかけて盛んになった「ことば遊び」文化の影響もあり、ダジャレや意味のないことばの世界を積極的に楽しむような流れ(余裕?)があった。

この年の主な事件は、「警視庁交通情報センター開設」「アメリカ駐日大使ライシャワー氏着任」「厚生省、国立がんセンター設置」「イギリス・マン島オートレースで、本田技研工業チームが優勝」「大阪・釜ヶ崎で暴動。2000人余の群衆が警官隊と衝突」「米ソの核実験再開により各地で放射能増加」「大鵬幸喜・柏戸剛、横綱に。柏鵬時代開幕」「中学生対象に全国一斉学力テスト実施」「パリで第3回世界柔道選手権大会開催。オランダのヘーシンク優勝」など。

この年の映画は『不良少年』『ウエスト・サイド物語』。本は水上勉『雁の寺』、小田実『何でも見てやろう』など。そば40円、ラーメン1杯50円の時代。うたごえ喫茶や、シームレスストッキングが流行した。

アジャパーだのガチョーンだの、昭和には「意味のない」フレーズが転がっていた。今はこの手のことばを発すると(若者から)白い目で見られる。何事にも生産性の必要な世の中なのだ。 =敬称略(中丸謙一朗)

<昭和36(1961)年の流行歌> 「北上夜曲」(多摩幸子、他)「スーダラ節」(ハナ肇とクレイジーキャッツ)「上を向いて歩こう」(坂本九)

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