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安倍晋三元首相

『安倍晋三の歴史戦』の著者、麗澤大学・西岡力客員教授が語る

安倍晋三元首相が、奈良市での街頭演説中に凶弾に倒れてから、間もなく1年となる。安倍氏が政治的使命として取り組んできた「北朝鮮による日本人拉致問題」は、いまだに解決に至っておらず、その存在感は死後、大きさを増している。麗澤大学の西岡力客員教授と、産経新聞の阿比留瑠比論説委員兼政治部編集委員の対談本『安倍晋三の歴史戦』(産経新聞出版)には、安倍氏の戦いの軌跡、戦略家としての凄みが描かれている。

『安倍晋三の歴史戦』(産経新聞出版)
「安倍さんは拉致問題や慰安婦問題を解決するため、対策を一歩一歩進めてきた。安倍さんの戦略性の高さを、多くの国民に知ってもらいたいと思った」

西岡氏は出版の動機をこう語った。拉致被害者の早期救出を目指す「救う会」の会長を務める西岡氏は1997年、安倍氏と知り合った。拉致問題に加え、慰安婦問題などの「歴史戦」で、安倍氏と協力してきた。

安倍氏の功績の一つとして、西岡氏は政府に拉致問題対策本部をつくったことを挙げる。拉致だけを扱う組織をつくることで、安倍政権後にも政府として問題に取り組む仕組みを設けたのだ。

西岡氏は「思想家や評論家でない安倍さんは、政治家として結果を出さなくてはいけなかった。そのために政界で多数派を形成し、組織や法律をつくり、物事を進めていった」と語る。

慰安婦問題をはじめとする歴史問題では、97年に中川昭一元財務相らとともに「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」を立ち上げた。この議連には、菅義偉元首相ら、その後、安倍政権の中心となる政治家が名前を連ねていた。90年代後半から、少しずつ永田町内外に理解を広げていった安倍氏の先見性の高さがうかがえる。

麗澤大学・西岡力客員教授
日本を取り巻く外交・安全保障環境が厳しくなるなか、安倍氏の存在感は大きくなっている感がある。後を継ぐ人材は現れるのか。

西岡氏は「安倍さんは仲間をつくり、ともに実践していくなかで大きくなっていった。あのような存在になるには、自分だけが目立とうとしてはダメだ。『冷や飯を食ってもいい』という覚悟を持って『闘う姿勢』がまず必要だ」と指摘した。

(報道部・森本昌彦)

https://www.zakzak.co.jp/article/20230602-ZIZFALG7ZRK7ZEILQRMHGTU2QI/