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講演する朝鮮大学校講師の鄭永寿さん

 関東大震災から9月1日で100年になるのを前に、震災時の朝鮮人虐殺について学ぶ集会が21日、東京・永田町の参院議員会館で開かれた。人権問題に取り組む市民団体などでつくる「関東大震災100年朝鮮人虐殺事件追悼と責任追及の行動実行委員会」が主催。日本キリスト教協議会総幹事の金性済キムソンジェさんが「100年前の虐殺の国家責任と、事実を隠蔽いんぺいし続けてきた政府の姿勢への責任を追及しなければならない」と訴えた。

 これまでの研究では、震災発生2日後の1923年9月3日に内務省から「朝鮮人が放火している」などとする電報が各地に送られたことなどが虐殺に拍車をかけたと指摘されている。

 閉会した通常国会では、参院の内閣、法務委員会でそれぞれ野党議員が虐殺を巡って質問。政府側は「事実関係を把握できる記録は見当たらない」「さらなる調査は考えていない」と後ろ向きな答弁を続けた。

 講演した朝鮮大学校講師の鄭永寿チョンヨンスさんは、震災直後の経過や虐殺の目撃証言を紹介し「国家が虐殺を主導し、民衆が加担した。今も日本政府が朝鮮を敵対視し、日本社会に朝鮮人を差別する雰囲気を醸成している」と指摘。政府や政治家などに「まずは上からの排外主義をやめることから始めないといけない。朝鮮人虐殺の真相を調査し、罪を認め、国家責任を果たして」と求めた。(奥野斐)

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