6/25(日) 10:20    水上賢治
https://news.yahoo.co.jp/byline/mizukamikenji/20230625-00355125

 「こんな女性監督が存在していたのか?」。

 そう驚きを隠せないのが、現在特集上映が開催中の<メーサーロシュ・マールタ監督特集 女性たちのささやかな革命>のメーサーロシュ・マールタ監督だ。

 彼女は1975 年の「アダプション/ある母と娘の記録」(※今回の特集での上映作品)で女性監督として史上初めてベルリン国際映画祭の最高賞(金熊賞)を受賞。以後も、カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭をはじめ名だたる国際映画祭で受賞を重ねた。

 アニエス・ヴァルダらと並び称される偉大な女性映画作家に挙げられる存在だ。

 ただ、きわめて重要な映画人でありながら、残念ながら彼女の作品は日本で劇場公開されないできた。

 今回の特集上映が彼女の作品の日本初お目見えとなる。

 ラインナップの5作品は、いずれも40年以上前の作品になるが、驚くぐらい古さは感じられない。

 女性の主体性や自由がテーマに深く根付いた作品は、現代社会にも結び付くひじょうに今日的な内容。

 今回の日本での特集上映に関して、メーサーロシュ監督自身が「古い映画を見つけてくれてありがとう。自由の問題も女性の状況も私が映画を撮った頃からあまり良くはなっていないのですから、これらの作品はきっと、今の時代にも有効でしょう。映画を見て、考えて、語り合ってください」とコメントを寄せているように、むしろ今を生きる女性の心にこそ響く物語になっている。

 メーサーロシュ・マールタ監督が描く作品世界とはいかなるものか?

 メーサーロシュ監督作品の撮影監督を務めた経験をもつヤンチョー・ニカ氏に訊く。全三回