バナナ好きの「聖地」…92年間、バナナ一筋!
おいしいバナナが売られていると、今やバナナ好きの間では「聖地」と言われる千葉県館山市のバナナ問屋・佐藤商店。「3時ごろ来てください」と言われたので、訪れると、店頭にはもうかなりの空きスペース。この時間になると、ほとんど売れてしまうのだという。問屋としてスーパーなどに卸しているものも含めると、1日に売れるバナナは3000本!

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3代目を継いだ佐藤隆史さん。佐藤さんがいちばん好きなのはエクアドル産のバナナ。「おいしいと言われることが励みです」(PHOTO:各務あゆみ)

扱っているバナナは台湾、フィリピン、エクアドルの3種だ。

いったいなぜバナナだけ扱っているのだろうか。

「宮城県から横浜に働きに出てきた祖父の勝男がバナナを食べ、そのおいしさに驚いて、バナナ専門店を開いたのが始まりです」

そう言うのは、三代目を継いだ佐藤隆史さん。創業はなんと1931年(昭和6年)。今でこそ、日本でいちばん食べられている果物だが、当時は目にすることも滅多にない高級品だ。

バナナのおいしさに感動した勝男さんは、バナナを輸入していた会社や取り扱い店など伝手をたどって、輸入ルート、熟成方法などを学び、千葉・館山で開業した。

「バナナは青い状態で日本に入ってきます。それを黄色く色づくまで熟成させて販売します。

急激に温度を上げると早く色づきますが、中は硬かったり、芯が残ったり。そんな状態のバナナを販売するのが許せなかったんでしょうね。保管庫を作り、そこで青いままのバナナを仕入れて、自分で熟成させることにしたんです」

勝男さん、おいしいバナナを求めて、エクアドルまで行ったのだとか。80年以上前のことだ。

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JR館山駅から徒歩約10分。創業当時から、この地に店を構える佐藤商店

6基の保管庫で1週間かけて熟成
お店の奥には6基の保管庫があり、ここで熟成させる。中に入らせてもらうと、ひんやり涼しい。空調で湿度や温度を管理しているのだという。

「温度を少しでも上げ過ぎると、半日で色が変わってしまう。日に何度もチェックして、0.5℃刻みで温度調整しています」

1基の保管庫に保管されているバナナは約6000本。これらを1週間ほどかけてゆっくり熟成させると、香り豊かなおいしいバナナになるのだという。