選挙で自民党をコテンパンにしたのも今は昔。この国の最大野党は、空理空論を弄し、足の引っ張り合いに明け暮れるばかり。独りよがりの正義に酔うだけの政治家を、国民は「大人」とはみなさない。

もう付き合ってられない
「こんなことでは、次の総選挙で立憲の看板を掲げて戦うことすら困難だ」

「維新の勢いに、どう対抗するつもりなのか」

ある立憲民主党の古参幹部は、先の衆参補選での全敗を受けて党本部で開かれた両院議員懇談会に、白けた思いを抱きながら足を運んだ。

次の総選挙で落選するのは自分かもしれない。崖っぷちの陣笠代議士らの必死の訴えにも、執行部の面々はピント外れの答えを返すのみだった。

「(自分の地元の)三重では、今回の統一選でも立憲の候補が無所属で出馬し、野党共闘で善戦した」

いつもの仏頂面で述べたのは、幹事長の岡田克也だ。こうは言うものの、岡田は昨年の参院選で三重選挙区に自身の元秘書を無所属で出馬させ、自民党の候補に約12万5000票の差をつけられて敗れている。

蓮舫も批判
「野党共闘しても国政選挙では勝てなかったじゃないか。だいたい、選挙で党名を名乗らないことを幹事長が奨めるなんて、どうかしている」

思わずため息がもれた。バカバカしくなったのか、早々に席を立って退室する議員も出始めた。

「いちばん変えなくちゃいけないのは、代表の認識なんじゃないですか? 何をやりたいか。何にしがみつきたいのか。持って帰って、しっかり考えてくださいよ!」

睨みつけるような視線と、耳につく高音で迫るのは前代表代行の蓮舫である。口調は自民党政権の大物を追及するときと、まったく変わらない。

もし解散総選挙があれば敗北は確実か
「はい、家に帰ってからよく考えます」

党代表であるはずの泉健太の言い草からは、皮肉とも諦めともつかない感情がにじんでいた。

何も決まらない。何の打開策もない。こんな茶番に付き合ってられるか―。出席した別の議員は、そう感じたと語る。

「去年の参院選でも大敗したのに、執行部の誰も責任を取ろうとせず居座っているのが、そもそもおかしいんだ。

泉さんだけじゃない。当時の幹事長だった西村(智奈美)さんは比例票を大きく減らしたのに代表代行に昇格したし、長妻(昭)さんは地元の東京で118万票から104万票に減らしたのに政調会長になった。普通の感覚なら、恥ずかしくて自分から辞めますよ。

正直、打つ手が思い浮かばない。こんな党、解散総選挙でぶっ壊されたところで文句は言えない」

仲間を平気で陥れる
岸田文雄が、総理のみが持つ「衆院解散」という切り札をもてあそぶ傍らで、野党第一党の立憲民主党は、敗れると知りながら死地に赴く軍勢のように、重苦しい雰囲気に包まれていた。

6月9日には、民主党政権で国家公安委員会委員長や拉致問題担当大臣を務めた松原仁が離党届を提出。松原はこのところ、次の衆院選を意識して、躍進著しい日本維新の会の代表・馬場伸幸らとたびたび会っていると噂されていた。