日本維新の会が、次期衆院選に向けて公明党との対決姿勢を強めている。公明が擁立を決めた11小選挙区すべてで対抗馬を擁立する方針で、全面対決の構図が鮮明となっている。

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日本維新の会の馬場代表

 維新の藤田幹事長は5日の記者会見で、公明現職が出馬予定の衆院東京29区と愛知16区で対抗馬を擁立すると発表した。維新は、公明の現職がいる大阪・兵庫で対抗馬を擁立する方針を決定している。関西以外についても「良い候補者がいたら立てるということに尽きる」と述べた。

 藤田氏は、東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」海洋放出の時期について「海水浴シーズンは避けた方がよい」とした公明の山口代表の発言も強く批判した。「科学的な根拠に基づいた政策決定を度外視している。不適切で、撤回した方がいい」と語った。

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公明党の山口代表

 維新が公明に強気の姿勢を示すのは、公明との連立に不満を持つ自民党支持層を取り込む狙いがあるためだ。

 岸田首相は性的少数者(LGBT)への理解増進法を巡り、自民を支持してきた保守層が反対する中、法制化を強く求めた公明への配慮から成立を急いだとされる。維新は国民民主党とともに保守層の主張を取り込んだ対案を提出して修正させるなど存在感を示した。自民内には、選挙協力や政策で要求を強める公明への不満もくすぶっている。維新幹部は「自公がぎくしゃくする今がチャンスだ」と語った。

 維新が5日に決定した次期衆院選での公認候補となる予定の選挙区支部長は次の通り。いずれも新人。(敬称略)

 【小選挙区】東京8 南北ちとせ(47)▽同29 海老沢由紀(49)▽神奈川5 久坂くにえ(50)▽愛知3 皆川雅一(41)▽同16 刀禰勝之(52)▽兵庫9 加古貴一郎(59)

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