2023年7月10日から専用ブラウザでの5ちゃんねる閲覧が不可能になっている一件で、5ちゃんねる専用ブラウザから新しい掲示板・Talkの専用ブラウザに転身した「Jane Style」を開発する株式会社ジェーンが、一連の対応についてのお知らせを発表しました。

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5ch.net のサポート終了と Talk 対応に関するお知らせ | 株式会社ジェーン

Jane Styleも含めて、5ちゃんねる専用ブラウザ(専ブラ)が読み込み・書き込み時に利用しているAPIのサーバーは株式会社ジェーンが提供しているといわれており、今回の一件ではそのAPIサーバーも使えなくなり、Jane Style以外の専ブラからも5ちゃんねるが見られなくなりました。

株式会社ジェーンの山下遼太氏によると、ジェーンは5ちゃんねるの有料会員サービス・浪人(Ronin)の国内販売代理店および5ch APIを利用した専用ブラウザの開発者の管理を受託していました。また、山下氏が代表を務めるティーケーテクノロジーは5ちゃんねるの広告全般を取り扱う一次広告代理店でした。

しかし3つの理由から、5ちゃんねるを運営するLoki Technologyとの関係を解消し、5ちゃんねるのサポートを終了することにしたとのこと。

山下氏が理由の1番目に挙げたのは「広告枠剥奪の問題」です。

山下氏によると、ティーケーテクノロジーは長らくLoki Technologyから広告代金の送金額を増やすように要求されていましたが、5ちゃんねるのPV減少・市況悪化・円安などの理由で実現していなかったとのこと。さらにLoki Technologyは「浪人」の値上げや広告枠増量も求めてきていました。

要求が受け入れられなかったからか、Loki Technologyは2023年6月8日にティーケーテクノロジーが管理する5ちゃんねるの広告枠をすべて撤去し、前管理人ジム・ワトキンス氏の息子ロン・ワトキンス氏が経営するSynic管理の広告枠に差し替えました。その上で、ジム・ワトキンス氏からティーケーテクノロジーに対し、関係を終了するとの通達があったそうです。

山下氏が挙げた2つ目の理由は「商標権侵害裁判の敗訴」です。

5ちゃんねるはひろゆき(西村博之)氏が管理人だった「2ちゃんねる(2ch.net)」を、ジム・ワトキンス氏が手に入れ、名前を改名した掲示板です。

山下氏はワトキンス氏とのビジネスを展開するにあたり、「5ちゃんねるはワトキンス氏が正当な権利を持って運営している」と説明を受けていたとのことですが、これは虚偽であり、ワトキンス氏による5ちゃんねる運営の正当性に疑義が生じていると述べています。

裁判の流れは栗原潔弁理士による記事が詳しいです。

3つ目の理由は「8kunサービスとの共存」です。「8kun(8chan)」は匿名掲示板サービスで、白人至上主義者や陰謀論者「QAnon(Qアノン)」の巣窟となっています。山下氏によると、ワトキンス氏は構築中のデータセンターで5ちゃんねると8kunを管理・運営する予定にしていたとのことで、山下氏は8kunの存在が5ちゃんねるのシステム安定化や広告に影響を与え、問題が生じると懸念していたそうです。