岸田政権は「危険水域」で動けず
写真:gettyimages

 「本日、ここに、我々3人は、日米韓パートナーシップの新時代を開いていく決意を示します」


 8月18日、ワシントン郊外にあるアメリカ大統領専用の別荘、キャンプ・デービッドで、バイデン大統領や韓国の尹錫悦大統領とともに共同会見に臨んだ岸田首相は、満足そうな表情を見せた。

 キャンプ・デービッドは、歴代のアメリカの大統領が、重視する外国の首脳を招き、打ち解けた雰囲気で会談を行う際に利用されてた場所だ。1986年には中曽根首相が招かれ、レーガン大統領と「ロン・ヤス」関係を築き、2001年には小泉首相がブッシュ大統領とキャッチボールを楽しんだことでも知られている。

 そのような由緒ある場所に招かれたこと、そしてそこで、中国などを念頭に、日米韓3か国による安全保障面での連携を強化し、「政権が代わっても協力関係を継続する」などとする「キャンプ・デービッド原則」を打ち出せたことは、岸田首相にとって、今年5月のG7広島サミットに次ぐ晴れ舞台にはなった。

 とはいえ、岸田首相の前途には暗雲が立ち込めているままだ。

 「解散? やれるわけがないよ。ガソリン価格の高騰だって、不満の矛先は岸田さんに向けられる。解散したら自民党は惨敗。10月解散の可能性なんて99%ないね」

 とは、自民党議員から聞こえてくる本音である。実際、岸田政権への支持率は、毎日新聞や時事通信による世論調査で、「危険水域」とされる20%台まで落ち込んでいる。

 ここで想起されるのが、先ごろ東京・永田町で出回った、岸田政権の低空飛行を受けての怪文書だ。それにはこんな記述が見られた。

 「(来年の)総裁選には出ないかもな…。首相はポツリとこう漏らした」

 「衆院解散・総選挙について、今秋はおろか来年の党総裁任期までに断行できず、退陣を余儀なくされる」

 さすがにこの内容を鵜呑みにする議員や記者はいないものの、現在の岸田首相を取り巻く状況を思えば、「こんな風に書かれるのもむべなるかな」と言うほかない。なぜなら、やることなすこと、理解が得られないものばかりだからだ。

次ページは:反転攻勢の糸口すらない岸田政権

つづきは下記リンク先を


8/26(土) 6:03配信  現代ビジネス