大阪府・市は29日、カジノを含む統合型リゾート(IR)をPRする目的で公表したイメージ図や動画の一部に、著名なアーティストの作品が無断使用されていたことを確認したと発表した。アート作品3点で利用許諾を得ていなかったほか、許諾期限切れの写真なども計20点使われていた。4月にアーティスト側から作品を無断使用されたとの指摘があり、調査していた。

 府市の共同設置部署「IR推進局」によると、イメージ図や動画はIRの運営事業者を公募した際に提出されたもので、事業者に決まった「大阪IR株式会社」の中核出資者である米MGMリゾーツ・インターナショナルなどが制作。府市が2021年9月に公表した。

 だが、画像や動画に含まれていた、青森県立美術館(青森市)に野外展示されている「あおもり犬」(高さ約8・5メートル)の作者で、世界的に活躍する奈良美智さんが23年4月、「使用を許可したことも、許可を求められたこともない。カジノとか、基本的に好きではないです」とツイッター(現X)に投稿。美術家の村上隆さんの花をモチーフにしたデザインでも無許可の可能性が浮上したため、府市はホームページ(HP)などから削除した。

 調査の結果、両作品は利用許諾が得られていなかったことが判明。別のアート作品1点も無許可だったため、MGM側が事後に許諾を得たという。「あおもり犬」ではMGM側が20年6月、奈良さん側に利用許諾を求めたが、断られていたことも判明。村上さんに対しては許諾を求めた事実すら確認できなかった。許諾期限切れの写真など20点についても、後に8点で許諾を得た。

 29日、記者会見した同局によると、MGM側は「新型コロナウイルスの影響で事業者公募の手続きが延長され、再開後の引き継ぎや確認が不十分だった」と釈明、奈良さんや村上さんに謝罪したという。MGMリゾーツ日本法人は同日、「本デザインの無断使用は本来あるまじき行為で、改めて深くおわび申し上げます」とのコメントを発表した。


8/29(火) 19:54配信   毎日新聞
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