100年前の関東大震災で発生した、いわゆる「朝鮮人虐殺」を巡り、神奈川県内での虐殺について知事の名前で政府に報告する文書が見つかったとして市民団体が会見しました。

 朝鮮人虐殺については2009年の政府の中央防災会議で、震災全体の犠牲者約10万5000人のなかに殺害された朝鮮半島出身者らが1%以上含まれていると専門家らが報告しています。

 一方で、政府は現存する公的記録に対する評価を避けていて、松野官房長官は8月に「政府内に事実関係を確認することのできる記録が見当たらない」と会見で述べるなどしています。

 虐殺の実態を調べてきた市民団体は今月4日、当時の神奈川県知事から警察を所管する内務省幹部に対し、虐殺に関して報告した文書が見つかったとして会見を開きました。

 文書は亡くなった研究者が古書店で見つけたもので、神奈川県内で朝鮮半島出身者が殺害された事件が57件発生して145人が殺害されたことが記載されていました。

 このうち14人は氏名も書かれていました。

 また、これまでに得られた虐殺の目撃証言と発生場所が一致する事件が4件あったということです。

 神奈川県の公式記録では県内での発生は2件とされていることから、市民団体の代表は「公式には少なく記録された可能性があるが、今回の文書は証言の確実性を裏付ける。また、犠牲者の名前が残されていたことも大きい」と話しています。

 一方で、公的文書であることは確認できておらず、「今後は公文書であることを裏付けできるのかどうかも検討していきたい」と話しています。

 この資料と一致する公文書などが存在するかどうかについて松野官房長官は4日に「承知していない」、神奈川県の黒岩知事は5日の定例会見で「資料の詳細は把握していない。今後、研究が進められることになると思う」と話しています。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000314554.html