食品の輸出入に詳しい弘前大学の石塚哉史教授(食料経済学)は「国内市場が先細る中、巨大な中国市場に代わる輸出先はなく、販路拡大も難航する恐れがある。
1次産業の発展には解決への道筋を立てることも重要だ」と指摘する。

 中国の禁輸は世界貿易機関(WTO)の食品安全に関する衛生協定に基づくもので、解決へのルールが整備されている。
衛生協定では、輸入制限は科学的根拠に基づくことなどが求められ、日本政府がWTOに提訴し、不当な措置だと認められれば、中国は輸入を再開することになる。

 ただ、中国はこれまでも尖閣諸島を巡る対立でレアアース(希土類)の実質的な禁輸に踏み切るなど、貿易制限が「外交カード化」しているとの見方もある。
石塚教授は「提訴などの硬派な対応だけでは、農産物への影響拡大など、報復につながりかねない。
産地を守るためにも、政府は100回批判されれば101回説明する覚悟で打開に動くべきだ」と述べた。