NTTドコモが2021年に終了した電子決済サービス「ドコモ口座」の公式サイトのドメイン(インターネット上の住所)を誤って手放し、仲介サイトの競売にかけられたことが分かった。関係者によると、出品に気付いたドコモが第三者による悪用を防ぐため約400万円で落札し、ドメインを取り戻した。

 ドコモ口座の旧ドメイン「docomokouza.jp」は9月1日、IT大手のGMOインターネットグループが運営するドメイン仲介サイトの競売に出品された。132件の入札があり、25日に402万3000円で落札された。

 ドコモの広報担当者は「社内の不手際で権利を手放してしまったが、現在は当社の管理下にある。ご心配をおかけして申し訳ない」としている。今回の事態を受け、自社で使ったドメインの総点検を行う考えだ。

 一般的にドメインは取得後、毎年数千円程度の更新料を払って権利を更新する必要がある。未更新や更新忘れなどで権利が手放されると、原則として仲介サイトなどで誰でも取得できる。

 ただ、大手のサービスのドメインは手放した後も検索エンジンの上位に示されやすいケースがあり、個人情報を盗む「フィッシングサイト」に悪用される危険性が高い。すぐに権利を手放さず、一定期間保持することが望ましいとされる。

 ドコモ口座を巡っては、20年にサービスを悪用した不正出金事件が相次ぎ、21年10月にサービスを終了した経緯がある。ドメイン管理支援を行う船井総研デジタルの原田裕之氏は「金融サービスの旧ドメインは悪用された場合のリスクが大きい。長期間保持するなどより厳重に管理する必要がある」と指摘する。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230929-OYT1T50220/