会場建設費が膨らみ続ける日本維新の会肝いりの大阪・関西万博(2025年4月開幕)への風当たりがどんどん強まっている。「#万博中止」が3日、X(旧ツイッター)のトレンド入り。火付け役になったのは、大阪市生まれの作家・筒井康隆氏(89)だった。

「日本維新の会」の落日はっきり…鈴木宗男氏にも切り捨てられ「日本無心の会」との揶揄も
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 筒井氏はヤフーニュースオリジナル特集のインタビュー記事(3日配信)で、半世紀を超える作家生活を振り返り。この国の現状については「けっこう、うまくやってると思いますよ。外国に比べたら、そうでしょ。やっぱり、他の国のどこにも住みたくないもんね」などと評価しつつ、万博をバッサリとこう斬った。

「今また万博なんていうのは時代遅れだね。もうやめたらいいのに、あれは。日本には金がないし、来る国にもないしね」

 ホント、今の日本には金がない。財務省によると、国の借金は2023年度末に1068兆円に上り、GDP比約2.6倍に達する見通しだ。53年前、大阪万博開催中の1970年度の借金は約4.3兆円。当時基準のGDP比6%に過ぎなかった。

 カツカツの懐はどういうわけか度外視され、物価や人件費上昇などを理由に、会場建設費は当初想定の1.9倍にあたる2350億円に膨張。等分負担する国、大阪府市、経済界は「やむを得ない」(西村経産相)とか言って合意したが、国と大阪が原資とするのは、むろん税金だ。その負担額は単純計算で全国の赤ちゃんから高齢者まで1人約650円。大阪在住者にはさらに約8800円がのしかかる。IR(カジノを含む統合型リゾート施設)を誘致したいがために、「成長の起爆剤」と大ボラ吹いて万博を引っ張った維新のせいで、赤ちゃんのミルク代もおっちゃんの酒代もドブに捨てられたようなものだ。

「万博で盛り上がっとったのは維新だけや。地元財界は及び腰で金を出し渋っとったし、コロナ禍で『もう無理や』って雰囲気だった。それやのに吉村府知事は、(主催する)万博協会(日本国際博覧会協会)を吊し上げまでしよってからに」(関西企業関係者)

 先月末の吉村府知事の「公開質問」はキワモノだった。会場建設費の再増額をめぐり、府庁で万博協会担当者と面会。「府民・市民にきちんと説明しなければならない」と迫り、「今回の増額を最後」とすると要求したのだ。吉村府知事は万博協会の副会長なのに、姑息な猿芝居。入場料収入でまかなう運営費も上振れ確実だし、海外パビリオンの建設遅れもシャレになってない。進むも地獄、退くも地獄だ。


11/5(日) 9:06配信  日刊ゲンダイDIGITAL
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