パリ五輪が今夏に迫る中、市内では、急ピッチで公衆トイレの交換工事が進められている。パリでは公衆トイレに行列ができるのが日常茶飯事で、トイレ不足が懸念されているためだ。

はたして五輪までにトイレ不足は解消されるだろうか。そしてパリを訪問する際は、どのようなトイレ対策をすればいいのだろうか。

五輪までに新タイプのトイレに交換も評判は最悪!?
日差しが大好きなパリジャンは、夏になると、よく公園でピクニックをする。ただ、すぐそばの公衆トイレには頻繁に行列ができ、トイレの数は決して十分とはいえない。

五輪開催期間にはさらに行列が発生するおそれもあり、パリ市は、ある秘策を打ち出した。それが、新タイプのトイレへの交換だ。

パリ市内には現在、男女共用で一人向けの公衆トイレが435カ所存在する。バリアフリーにも対応しているうえ、誰かが使うたびにドアが自動でロックされ、室内を自動で洗浄、消毒、乾燥してくれる優れものだ。ただ、洗浄には1~2分もの時間を要し、行列の原因となっていた。

新タイプの公衆トイレは、この洗浄時間が30秒に短縮され、男性用の小便器も増設されるため待ち時間の短縮に期待がかかる。

パリ市は五輪開幕までに150カ所を新タイプに替えることで、公衆トイレの数を増やさずして押し寄せる観光客のニーズに応えようとしている。

ただ、この公衆トイレ、実はパリジャンからの評判は決して良くはない。

25歳男性:
汚かったり、壊れてたりするし、公衆トイレは使いません。数カ月前に日本に行ったけど日本の方はずっと快適でしたね

26歳女性:
においもひどいし、使いません。気付いたら1日我慢していたこともあります。公共施設に対する敬意がないんですよ。そんな中、誰がトイレにまで気を使うんでしょう

公衆トイレは毎回、自動で洗浄されているものの、清掃員によるメンテナンスは平均で週に3回のみ。清潔感に欠けているとして、あまり気持ち良く使うことができないのが現実だ。

さらに、公衆トイレには便座がない。

公衆トイレだけでなく、空港などにも「便座なしトイレ」は存在し、日本人にとっては驚きなのだが、フランス人にとっては、それほど意外なことではないようだ。

51歳女性:
掃除がしやすいからかしら。もしくは、壊されるのに備えての対策かしらね。文化の問題です。それほどショックではないですよ

47歳女性:
もし便座があっても座らないですし、衛生面を考えると、正直、便座がない方がみんなのためですよね

28歳男性:
文化的にも、僕たちは自問自答することもなくそれが普通のことであったりもします

世論調査では「便座があろうがなかろうが。お尻を浮かすなどしてトイレを利用する」という人が81%にのぼる。(自宅のトイレは除く)

郷に入れば郷に従え。座れないトイレで腹筋が鍛えられるとポジティブに捉えるしかないのか。