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2024/04/15(月) 17:00:52.10ID:vsDANiTT■『古事記』や『日本書紀』でも登場する犬
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出典:イラストAC
8世紀になると『古事記』や『日本書紀』が成立し、地域の文物や産品についてまとめた『播磨国風土記』や説話集『今昔物語集』なども登場する。そこにしばしば、神話と一体になった犬の物語が出てくるのである。
『日本書紀』には、たとえば景行天皇四十年条に、日本武尊(やまとたけるのみこと)が犬に助けられる有名な話が出てくる。東国を平定して帰還途中の日本武尊一行は、山深い信濃の道中で迷ってしまった。そこに山の神が白い鹿に姿を変えて現れ、道をさえぎる。
日本武尊は蒜(ひる)を投げて白い鹿を倒したものの、急に道も方角もわからなくなってしまう。そんな時、どこからともなく白い山犬が現れて、導かれるように一行は美濃へ出ることができた。
一方、雄略天皇十三年条、文石小麻呂(あやしのおまろ)の話では、犬は全く違う役割を演じている。小麻呂は播磨の豪族で傍若無人であり、朝廷に叛逆していた。道をふさぎ、船を止めて積荷を奪うといった乱暴狼藉を働き、租税も収めない。
そこで雄略天皇は小麻呂討伐を決め、命を受けた春小野臣大樹(かすがのおののおみだいじゅ)が兵を連れて播磨に向かった。そして小麻呂の館に火を放ったのである。すると炎の中から、馬のように大きい白い犬が飛び出してきた。大樹がその犬を斬ると、犬は小麻呂の姿になったのである。
『古事記』にも雄略天皇の話が出てきて、そこで犬はまた違う役割を担っている。雄略天皇が、若日下部王(わかくさかべのきみ)という女性に求婚に行く途中、村の豪族・志機大県主(しきのおおがたぬし)が、天皇の家に似せた立派な家に住んでいるのを見て腹を立て、その家に火をつけようとした。
すると志機大県主は天皇に頭を垂れて謝罪し、白い犬に布をかけて献上した。そこで天皇は犬を受け取り、火をつけるのをやめた。そして若日下部王の元に「これは道中で得た珍しいものである。これを結納の品にしよう」と言って渡し、求婚に成功する。
それにしても、天皇の家に似ているからと火をつけるとは、ずいぶん乱暴な話に思えるが。これには、天皇の力が強くなっていた時代背景があるようだ。
つづき
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