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鹿児島市の中心部と桜島をおよそ15分で結ぶ「桜島フェリー」。毎日24時間運航で人と車両を運んでいます。このゴールデンウイーク中も、乗船が1時間待ちとなる日もありました。

世界有数の活火山にして、鹿児島を代表する観光地でもある鹿児島市の桜島には、およそ3400人が住んでいます。対岸の鹿児島市街地に通勤や通学のほか、通院や買い物に行く住民もいるほか、救急車もフェリーを使います。

およそ2023年4月に5隻から4隻体制となり、運航間隔も15分から20分へと減便しましたが、市民や観光客の足として大切な交通インフラです。

その桜島フェリーについてこんな疑問が…
『前後対称の桜島フェリー。前と後ろはあるのでしょうか?』
4隻の船が運航している桜島フェリー。見てみると、いずれの船もつくりが前後対称になっています。

そのため入港、出港するときは回転せずに進行方向そのままです。

【ほかのフェリーではどうなってるの?】
いっぽう、鹿児島市街地側の桜島フェリー乗り場から南におよそ5キロの鴨池港と対岸の垂水市を結ぶ民間フェリー「鴨池・垂水フェリー」では

鴨池港を出港する際、船は、着岸した状態から一度バックして、ぐるっと方向転換しています。このように一般的な船は、出港、入港するときに船首が前方に来るよう、船の向きを変えます。

桜島フェリーはというと…船は入港後、そのままの方向で着岸。

船は方向転換することなく、そのまま出港していきます。

(鹿児島市の担当者)「車両を多く積み込むので、両方から入って両方からまた出られるように作ったほうが短時間で作業が可能になるので、効率的に作業できるよう、このような形になっています」

【“両頭船”でどちらにも進める桜島フェリー、前と後ろはあるの?】
桜島フェリーは「両頭船」と呼ばれる船で、前後どちらの方向にも進めるよう作られているのです。

たとえば、一般的な船には片側にしかない「スクリュー」や「操舵室」も前後それぞれに完備。操舵室は進行方向のものを使うことになっているため、着岸すると、船長はこれまでとは逆方向にある、もうひとつの操舵室に向かいます。

(船長)「この船は両方とも行ける造りになってるので、操縦権をこちらに移した。桜島フェリー独特ですね」

また、自動車も…

(フェリー乗組員)「車両も乗った順番で降りられるようにしてある。それも両方に設備があるので可能となる」

「両頭船」で“前後対称”の桜島フェリーは、本当に「前」、「後ろ」はないのでしょうか?鹿児島市の担当者に聞いてみると…

【実はあった桜島フェリーの「前」「後ろ」...その見分け方とは】
(鹿児島市の担当者)
「桜島フェリーにも前後、船首・船尾というのがございます」

では、もう一度、桜島フェリーを見てみましょう。

一見して、どちらが前、後ろ、皆さん分かりますか?実は画像に答えが写っているんです。その答えとは…

(鹿児島市の担当者)「船を外から見ていただくと、錨(イカリ)が付いているのが『前』、錨が付いていないのが『後ろ』というふうになっています」

実際に桜島フェリーを見てみると…

(記者)「ありました、あれですね、イカリ。たしかに片方だけについていて、反対側には付いていません」

船に必ず付いているイカリ。構造上、どの船もほぼ必ず前方=「船首」部分に付いています。桜島フェリーの場合、イカリが付いている方を桜島側に向けて運航。

全部で4隻ある桜島フェリーはどの船も、常に桜島側が前方の「船首」、鹿児島市街地側が後方の「船尾」なんだそうです。

「両頭船」の桜島フェリー。前後どちらにも進むことができる特徴的な構造でありながら、前、後ろははっきりと存在することがわかりました。

(この記事はMBCニューズナウで放送した「どうして?こうして!鹿児島」の過去の企画を再構成したものです)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/mbc/1152192