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上川陽子外相(春名中撮影)

上川陽子外相が静岡県知事選の自民党推薦候補の応援演説で「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言し、後に撤回したことについて、立憲民主党内で「論争」が続いている。上川氏は発言の意図について「女性パワーで知事を誕生させよう」と説明しているが、立民議員らは「産みの苦しみ」に例えて候補を応援することは不適切だなどと指摘する。一方、過去に「産みの苦しみ」に例えた発言をして、全く問題視されなかったケースもある。

「産まずして」と漢字で投稿

「上川大臣の真意は『支援する知事を生み出す』ことだったかもしれません」

立民の塩村文夏参院議員は19日、X(旧ツイッター)で上川氏が早期に発言を撤回したことに理解を示した上で、「『女性が子どもを産む』ことを前提とした発言であったことが問題だと気づいて頂けていればと思います」と訴えた。

原口一博元総務相も20日、上川氏の発言について「上川さんにあそこまで言われたくない。静岡知事選挙で自民党推薦候補を『産まずして何が女性か』となぜ、言われなければならないのか?辞任せよ」とXに書き込んだ。

原口氏は「産まずして何が女性か」と「うまず」について漢字で表記した。一部報道機関は上川氏の発言について当初、「『産まずして何が女性か』」などの見出しで報じたが、その後、漢字表記から「うまず」というひらがな表記に変わった経緯がある。

「思いをはせれば不適切」

蓮舫元行政刷新担当相は20日、Xで上川氏の発言について、「『問題ない』と擁護する方もおられますが、生まない選択をされた方、治療をされている方、生めない方、そのパートナーの方々へ思いをはせれば『産みの苦しみ』を比喩に知事候補者を勝たせる呼びかけをするのは不適切です」と重ねて強調した。

「産みの苦しみ」の表現自体は国会審議をはじめ政治家が使用するケースは少なくない。

平成30年5月、旧立憲民主党の辻元清美国対委員長(当時)も加計学園問題を受けて2週間余り欠席した国会審議を巡り、正常化を求める与党と協議に応じる考えを記者団に説明した際、「この間の野党の行動は、立法府を立て直していく産みの苦しみだと思い対応してきました」と発言。

辻元氏は上川氏と違って主語に女性を用いず、選挙活動と与野党交渉は異なるなど発言当時の状況に違いがあるためか、マスコミが問題視することはなかった。(奥原慎平)

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