日本保守党の百田尚樹代表は9日の記者会見で、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射について「言語道断な行為だ」と批判した。過去の日本政府の「事なかれ主義」が「遠因」であるとも指摘した。

レーダー照射について百田氏は「非常に悪質で危険で、国際秩序を揺るがせかねない大問題だと思う」と述べた。

中国側の発信に関しては「中国は、『うちは悪くない』と、例によっていけしゃあしゃあと言っている。日本側としてはおそらく確固とした証拠もデータも全部そろっているにもかかわらず、中国は相対主義というか、日本と中国の言い分はどっちもどっちだろうという風に持っていこう、というのが常道だ」と指摘した。

百田氏「国際社会は見ている」
そのうえで「今回の事案は、高市早苗首相の発言がどうのこうのということはあるが、結構根が深い」と述べ、2018年の韓国海軍の海上自衛隊機へのレーダー照射事件における日本政府の対応を挙げた。

百田氏は「この時、日本政府、防衛省の対応が非常にぬるかった。徹底して抗議して、韓国軍、韓国政府に対して非常に厳しい態度を取るべきなのに取らなかった」と述べた。

2019年6月に当時の岩屋毅防衛相がシンガポールで韓国国防相と笑顔で握手したことを挙げ、「喜んで満面の笑みをたたえて握手した。握手した写真も(報道に)載っているが、身を乗り出して自分から握手している。なんだこれは、平和外交でもしているのか、という感じだ。笑顔など出るはずないのに」と批判した。さらに「国際社会はそういうのを見ている。特に中国はじっくり見ている。だから、悪例を残したな、とそのとき私は見た。『日本の自衛隊はレーダー照射してもあまり怒らないな』『これなら、いざとなったらやれるな』と近隣国は見ている」と語った。

民主党政権下で中国人船長釈放
民主党政権下の2010年に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、中国人船長を釈放した日本政府の対応についても言及した。「本来なら裁判にかけるはずだった。近隣諸国は、日本というのは、領土領海を徹底して守り抜く強い意思がないな、とみている」と振り返った。事件後にロシアの国家元首が北方領土に初上陸したことや、韓国大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に初上陸する事態が起きたと紹介した。

そのうえで、「今回の中国のレーダー照射は、ばかげた、非常に愚かな行為だと思うが、それまでの日本政府の非常にだらしない事なかれ主義が今回のことを生んだな、と思う」と述べた。「国際社会はこちらが緩んでいる、譲歩していると、どんどん状況は悪くなっていく。自民党政権は分かっているのか。高市さんを呼んできて、しっかり教えたいと思う」と強調した。

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