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羽生ら選手たちは、競技に集中しながら、感染対策にも気を配らなければならない。懸念材料はそれだけではない。ワクチン接種に伴う、負担の大きさだ。

「北京五輪の規則集である『プレーブック』には、選手は北京入りする14日前までにワクチンの接種を完了しておくことが必要、との記載があります。未接種者は北京到着後に、21日間もの集中的隔離が義務づけられています。もちろんその間、練習はできません。

ワクチンの義務化はアスリートによってはセンシティブな問題。副反応だけでなく、持病のある選手にとっては接種そのものへの不安も大きい。医学的な理由により接種の免除を申請できますが、必ず通るかはわかりません。選手はナイーブにならざるを得ないのです」(スポーツジャーナリスト)

さらには、コロナの感染拡大は思わぬ競技進行の妨げを引き起こす可能性もある。

「フィギュア会場では、定期的に会場内のエアロゾル(空気中に漂うウイルスを含んだ微粒子)の数値を確認するとされています。30分から1時間で検査結果が判明するので、問題がなければ進行に影響はありません。ですが万が一、異常が確認された場合、“正常化”のため膨大な待ち時間が発生したり、競技全体が延期になるケースも考えられます。

換気作業が行われる場合、会場の温度が変わる可能性があり、そうなるとアイスリンクの状態にも影響が出かねない。選手の心理的な負担はこれまでの五輪とは比べようがありません」(前出・中国在住ジャーナリスト)

北京五輪のリンクは、かつてないほど“魔物”が棲みやすい場所になっているのだ。 ※女性セブン2022年2月3日号