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■2月10日 フィギュアスケートの五輪男子代表にもなった斯界の大先輩が羽生結弦にあえて苦言を呈した。「滑り終えたあと、はまった穴をわざわざ見に行ったのは“ここだよ”ともいいたげで、五輪2連覇の王者にはふさわしくないし見たくはないシーンだった。みんな同じ条件で滑っているんだから…」

8日のSP。羽生は冒頭の4回転サルコーを跳ぼうとして他の選手が残した穴にはまり1回転になってしまった。不運としかいいようのないアクシデントで悔しさは計り知れない。後ろ髪を引かれる思いで“事故現場”に戻ったのか。「完璧なフォームで完璧なタイミングで行った瞬間、穴に…」と未練がにじむ。

14年ソチ五輪の浅田真央を思い出す。序盤の団体戦のあと10日ほど空いた女子シングルに備え日本連盟が確保したリンクで調整した。しかし氷はガチガチ、剥落した天井の塗装の粉末でエッジがガタガタになりSPはなんと16位。コーチが必死に研磨しフリーでは6位入賞まで追い上げた。メダルには届かなったが、浅田は一切恨み言は言わなかった。

そういえば、羽生はSPで2、3位につけた鍵山優真、宇野昌磨の活躍で銅メダルを獲得した団体戦は欠場した。「日本チームの一員である以上、団体戦は出ないにしても頭としてその場にいてほしかった。すべてにおいて、みんなのお手本になる役目が羽生にはあるはず」と前出の大先輩は続けた。

トップのチェン(米国)とは18・82点差の8位。フリーで6種類8回の3回転という女子ではかつてない高度なプログラムをノーミスでこなし、いまや伝説となったソチの浅田の「魂の演技」の再現で最上のお手本になってほしいものだ。

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