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(1)「ホープ&レガシー」
(2)「パガニーニの主題による狂詩曲」
(3)「ノートルダム・ド・パリ」
(4)「ロミオとジュリエット」
(5)「バラード第1番」
(6)「秋によせて」
(7)「ホワイトレジェンド」
(8)「ノッテ・ステラータ」
(9)「SEIMEI」

 まさに珠玉の9曲。66年ぶりの2連覇を果たした平昌五輪フリーで演じた最後の「SEIMEI」は、終盤のコレオシークエンスからスピン、決めポーズまでとると、大きな拍手が巻き起こった。リンクから上がるとミックスゾーンで報道陣に「僕が今までのスケート人生の中で、落っことしてきたものというか、落とし物をしてきたみたいなものを全部やろうと。今ならできるって思って心の赴くままにスケートしました」とすがすがしく言った。そして、「公開練習しますか。くっそ自由な。もう、本当に皆さんには、取材とか関係なく、いつか、ただひたすら、こんなくだらない練習かもしれないけど、ひたすら、ただ、仕事忘れて、飲みながらでも、見てもらえる時間がいつかきたらいいなって思っている。本当にありがとうございました」と言葉をつないだ。

 あれからちょうど5カ月。記者会見では引退の言葉を使わない真意について「現役がアマチュアしかないみたいな感じですごく不思議だなと僕は思っている。野球を頑張っていて甲子園で優勝しました、プロになりました、それは引退なのかというとそうじゃない。僕はそれと同じだと思っていて、むしろここからがスタートでこれからどうやって自分をみせていくのか。挑戦し続ける姿や闘い続ける姿を皆さんに見ていただきたい」と語った。

 北京五輪では未完に終わったクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)にも挑み続ける。それと同時に自身が切り開いてきた複数4回転を跳ぶ高難度ジャンプの時代ではなく、プルシェンコ(ロシア)ら屈指の表現者がしのぎを削った時代の卓越したスケーティングも磨き挙げていく。「これからもどんどん勉強してどんどん深いフィギュアスケーターになっていきたい」。〝羽生結弦〟という重荷を少し下ろし、あるがままの滑りを追い求めていってもらいたい。