GIFTはひとりの傷ついた若者の精神世界に没入する作品だ。その復活はかっこいい事も特別な事もなく、ただ苦しみもがいた自身の過程がある日、光を連れてくる。自分が殻を破る時まで闇の中でもがく事しか次の扉は開かない。私にとってはそういう作品だった。

アスリートや芸術家ではなくても自分の限界と戦うときが誰にでもある。そういう全ての人へのGIFT。かなり苦味もあり抽象的でありながら赤裸々に選手自身の孤独と苦悩をさらしている。楽しいショーをいくらでも作れる羽生選手だけど、今本当に言いたい事をショーにしたんだな。それが本当に人に届く事だから。