BTS(防弾少年団)の「原爆Tシャツ」と「ナチス」問題を、私たちはどう考えるべきか?
「原爆」について考えてほしい──広島出身の私からの希望
松谷創一郎
2018年11月13日 13時44分

防弾少年団(BTS)の『ミュージックステーション』出演が見送られた11月8日、韓国の音楽ケーブルテレビ局・Mnetの『Mカウントダウン』では、IZ*ONE(アイズワン)が初登場で見事に1位を獲得した。

10月29日にデビューしたばかりのIZ*ONEは、音楽サバイバル番組『PRODUCE 48』から生まれた12人組のガールズグループだ。日本からはHKT48の宮脇咲良と矢吹奈子、AKB48の本田仁美が加わっている。1位獲得直後には、日韓台混成のTWICEから祝福されていた。

東アジアの音楽シーンが日本を中心に回っていた状況は、10年ほど前にすでに終わっている。かと言って、K-POPが東アジア全域を支配したわけでもない。支配−被支配といった単純な構図ではなく、さまざまな国のひとびとが、場所(国)にこだわらず流動的に活動するグローバル状況が訪れている。

IZ*ONEにしろTWICEにしろ、あるいはタイ出身のメンバーを含むBLACKPINKにしろ、そして欧米圏でも大ヒットしているBTSにしろ、K-POPと呼ばれるそれらの表象には韓国的なナショナリティはさほど見られない。

が、そうした状況にときおり反動的な力が生じることがある。今回のBTSメンバーの「原爆Tシャツ」騒動はその典型だ。

今回のような騒動は、これまでもしばしば見られてきた。ただその場合、たいていは「旭日旗」を連想させるデザインが韓国で問題視されるケースだ。K-POPだけでなく、きゃりーぱみゅぱみゅなど日本のアーティストもその対象とされたことがあり、また、サッカーの国際戦でも問題となってきた。今回のBTSの「原爆Tシャツ」騒動は、(意味は大きく異なるが)これまで韓国で見られきた「旭日旗」騒動と一見よく似ている。

こうしたとき常に失望を感じるのは、そこでコミュニケーションが幾重にも渡って断絶していることだ。それを理解するためには、主要な登場人物それぞれが現在置かれている立場を考えてみるといい。