腹痛を訴える生後10か月の女児の腹部から、未発達の双子の片割れ(パキスタン)

パキスタンのパンジャブ州で今月3日、生後10か月の女児の腹部から未発達の双子の片割れが摘出された。英医学雑誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical Journal)」によると、これは50万人に1人の確率で発生する先天性奇形「胎児内胎児(FIF)」で、執刀医らを驚愕させたという。

女児の父親は「娘は誕生以来ずっと腹痛で苦しみ、何度も治療を受けてきた。しかし腹部の不快感は改善されず、詳しい検査をしてもらおうと総合病院を訪れた」と述べており、今回の発見に目を丸くしているという。

なお通常、妊娠初期に双子の片割れが亡くなると、子宮に吸収されて胎児が消えてしまう(バニシング)。この現象は「バニシングツイン」と呼ばれ、医療関連のオンラインサイト『WebMD』は「ある研究では双子の妊娠の36%で起きている」と報告している。高齢出産の増加などにより、この数はさらに増えると推測されているが、今回の女児のケースのように亡くなった胎児が双子の片割れの体内に取り込まれてしまう「胎児内胎児」を起こすことは稀で、世界での報告数は200例余りという。