マグマのコンセプト
>2022年に訪れたケニアでの衝撃は、今も私の中で続いている。 ナイロビのゴミの山が脳裏から離れない。自然発火する炎に腐敗臭、プラスチックのカラフルな色彩が入り混じり、まるでこの世の終わりを具現化したような景色にめまいがした。
北斎による富嶽三十六景凱風快晴、通称「赤富士」は、富士山を見慣れた青や白ではなく、太陽の光で赤く染めることにより、その優美な姿を印象強くさせるだけでなく、内に秘める火山を彷彿させ、不気味さと共に被写体のもう一つの側面を浮かび上がらせる。私は、ケニアで撮影したゴミ山の画像を赤色に変換してみた。見るに耐えぬ光景は抽象的になり、まるで花のようでもあるし、上空から見下ろす地形図のようにも見える。人工的であるはずのゴミたちはまるで自然の風景の一部を切り取ったかのように見えた。ゴミとは 一体何だろうか。その固定概念が崩れていくようであった。
赤色は警鐘や危機を表す色。しかし私は環境問題へのアラートというよりも、未来を変えていく方法はきっとある、その前向きな感情の高まりを赤い色に込めたいと思う。
中里唯馬