日本はまだ米国から完全に主権を回復していないのに、安倍首相は昨年、「日本はサンフランシスコ講和条約が発効された1952年4月28日に完全に主権を回復した」と誤った発言をした。
安倍首相が言うように1952年4月28日に日本は完全に主権を回復したというのなら、北方領土は日本の領土ではないと認めたことになるし、1952年4月28日に米国統治下に置かれ、日本の主権が及ばなかった沖縄も日本ではないということになる。

<日本が米国から主権を回復できていない理由>

日米地位協定には、日本が国家として領土の統治に関われない条約が盛り込まれている。
例えば、日米地位協定第17条で日本はアメリカに警察権を渡しているから日本の領土で米軍が事故を起こしても、それが公務中であれば日本の警察は現場検証すらできない。
「主権」という言葉を辞書で引けば、「国民および領土を統治する国家の権力」とある。
領土を完全に統治できない国が主権国家と言えるわけがない。
つまり、日本はまだアメリカの属国であり、とても「主権を回復した」とは言えない。
そもそも日本が戦後、米国から独立を果たすには、この日米地位協定や日米安保条約を受け入れることが条件とされていた。
サンフランシスコ講和条約が発効された1952年4月28日は日本が主権を回復したということになっているが、実は、この「主権回復」というのは形式的なものであって、実質的には日本はまだ戦勝国の米国から主権を回復できていない。
それどころか、日本はこのサンフランシスコ講和条約で対米従属を決めたと言っても過言ではなく、さらに言えば、この1952年4月28日は日本にとって「屈辱の日」とさえ言えることを日本人は知るべきである。