[沖縄関係予算] 歪みと分断 増幅させた

2023年度の沖縄関係予算案が2679億円で閣議決定された。22年度当初予算から5億円減となり、
県が求めていた3千億円台を2年連続で大きく割り込んだ。

岸田文雄首相は5月15日の復帰50周年記念式典で「沖縄の潜在力を最大限に引き出し、
『強い沖縄経済』を実現していく」と強調したが、その実現に向けた予算には感じられない。

コロナ危機から回復しつつある県経済にとっても、厳しい数字である。

県や市町村が増額を求めていた使途の自由度が高い一括交付金は3億円減の759億円となり、
9年連続で減額された。14年度の1759億円と比べると半分以下となる。

一方で、国が県を通さず市町村に直接交付する「沖縄振興特定事業推進費(推進費)」は、
概算要求額より10億円上積みし、過去最高額に並ぶ85億円となった。

3年度の防衛費は過去最大の6兆8千億円を計上している。11年連続の増加で前年に比べ、
約1兆4千億円も増額となった。

米軍基地だけでなく、自衛隊配備や軍備増強など安全保障の負担がますます沖縄にのしかかっている。
安保の負担をどうするのか議論もないまま、沖縄関係予算だけがなぜ減額され続けるのか。

予算を「基地維持装置」として機能させていいのか。財政規律を歪め、
分断を伴う予算をこのまま続けるのか。

あるべき振興の在り方について、沖縄から提起する時だ。