本になったら一冊ずつでしか販売できない。
新人の一巻を読んで、つまらなかったら二巻を買ってもらえない。

一巻を読ませだけで、
「面白かったー! 大満足! この作者の本、次も買うぞ!」
となってこそ、売れていける。
一巻の分量で満足を与えられなきゃ、商売として不利。
風呂敷を畳める技量まで含めてのことな。

それができる人材を探すのが新人賞で、
見つけて拾ったらそれからじっくりと育てていくってことだろ。

「十巻まで読んでもらえたら、俺の作品の真価はわかります!」

なんて、誰にだってできるよ。俺にだってできる。
十巻まで出版してくれたら、大ヒットの自信ある。
但し、九巻までは売れなくて出版社は大損害だけど、それには耐えてくれよ?

と、そんなことに応じてくれるわけないだろ。
九巻まで、延々と赤字を垂れ流せと? 営利企業として不可能だ。
早々に結果を見せてくれないと、安心して続刊を出せない=投資はできない。
その「早々」が、「一巻で結果を見せろ」ってことだよ。