強盗殺人事件の狛江市、住宅の防犯設備費を
最大1万円補助…マンションやアパートも対象

東京都狛江市で1月に発生した強盗殺人事件を受け、
市は新年度から住宅に防犯設備を導入する際、
費用の一部を補助することを決めた。
このほか、防犯カメラを増設し、既設のカメラの
維持費も補助する。犯罪対策を強化し、
市民の不安低減を目指す。

事件は1月19日、狛江市内の2階建て住宅で発生し、
住人の女性(90)が殺害された。関東など各地で
相次いだ「闇バイト」に絡む強盗グループが
関与したとみて、警視庁が捜査している。


 新年度に実施する予定の補助制度では、防犯カメラや、
センサーライト、窓ガラスを割れにくくする
フィルムなどの防犯設備を取り付ける際に、
1世帯に1回限り、費用の半額(最大1万円)の
補助金を支給する。一戸建てに限らず、マンションや
アパートも補助対象となる。市は新年度の一般会計
当初予算案に500万円を計上する方針だ。

また、市内には、市や自治会、商店街などが設置する
防犯カメラが計217台ある。市はこれまで、
自治会などが設置する場合は、6~8割程度の費用
を補助し、電気代も全額負担している。今回、
新たに修理や点検といった維持費にも補助金を
支給することとした。さらに、市が費用を負担して、
防犯カメラ10台を道路沿いに増設するという。


 市がこうした防犯対策に取り組むのは、閑静な住宅街で
起きた凶悪な事件が、市民に大きなショックを
与えているからだ。市内に住む無職男性(84)は
「狛江でこんな事件が起きるとは思わなかった。
事件後は、鍵を二重にかけたり、窓の施錠をしっかりと
確認したりするようにしている」と話す。


 市にも「どうやって対策すればいいのか」といった
不安の声が複数寄せられ、事態を重く見た松原俊雄市長は
1月24日に現場付近を視察した。事件発生後には、
市の職員らが午前と午後の2回に分けて、青色回転灯
付きのパトロールカー(青パト)で市内を巡回。
小中学校の登下校の時間帯には、通学路で見守り活動も実施した。


 市のホームページでは、「来訪者はカメラ付きインターホンなどで確認する」や「自宅に多額の現金を保管しない」といった防犯対策を掲載。さらに、今月15日付の市報では、自宅にいても鍵をかけることや、不審な人を見かけたら地域住民で情報を共有するなどの対策を紹介している。松原市長は「市民を守るのが市としての責務。二度と同じような事件を起こさないためにも、できることをしっかりとしていく」と話している。