古代の蝦夷(えみし)は、本州東部とそれ以北に居住し、政治的・文化的に、大和朝廷や
その支配下に入った地域への帰属や同化を拒否していた集団を指した。統一した政治勢力
をなさず、積極的に朝廷に接近する集団もあれば、敵対した集団もあったと考えられている。
しかし、次第に影響力を増大させていく大和朝廷により、征服・吸収されていった。蝦夷
と呼ばれた集団の一部は中世の蝦夷(えぞ)、すなわちアイヌにつながり、一部は和人に
つながったと考えられている。 蝦夷(えぞ)と蝦夷(えみし)とは連続性を有すると考え
られてきたが、昭和に入ってから東北地方に弥生時代の稲作遺跡が発見されたことから、
蝦夷(えみし)と蝦夷(えぞ)を、人種的にはともかく、民族的には区別する説が有力と
なった。