偽情報や陰謀論…
「日本好き」欧州の若き研究者が「日本社会も劣化している」と語る理由(2023年)
https://gendai.media/articles/-/118166?imp=0
栗田 路子

2023年夏、ベルギーの大学に日本語が堪能な日本研究者が、世界中から1000人以上も集まり、4年ぶりに『ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)』が開催された
日本研究において「社会問題」が研究テーマに急増したのは、「2010年代頃」からだという

ウクライナ戦争におけるロシアの情報操作研究によれば、ロシア当局が各国言語で拡散する親ロシア・プロパガンダは、ここ10年ほどの間に勃興した新右翼メディアや論客による陰謀論的な主張と、内容的に驚くほど重なっている
疑ってみることに慣れていない日本人は、「SNSによる戦略的情報誘導」にとても弱いのだ

日本で起きている現象は、戦後の近代史では超国家的な現象として世界中で起こっている、右派ポピュリズムの一例である

欧州では2010年代以降、凄まじい偽情報操作を当局が察知して、EUや各国政府が対策に乗り出し、取り締まる法律や仕組みを作り始めた。「もぐらたたき」の様相だが、なんとかして市民を守ろうとする努力が必死に積み重ねられている

日本では偽情報を取り締まる動きが社会にほとんどないから、どんどん増幅してしまう
それに日本語という言葉の壁もあって他国や他文化からの影響を受けにくい
その状況がデジタル・ポピュリズム戦術の研究にはぴったりの「試験管内状態」(ガラパゴス化)になっている

ドイツのための選択肢(AfD)やフランスの国民連合のような極右政党が、日本を「理想」として掲げているという話は欧州では有名だ

日本人には、クリティカル・シンキング(論理的・構造的・批判的思考)やメディア・リテラシー(メディアを主体的に読み解く能力など)が欠如しているから、偽情報でも陰謀論でも好きなように操作されてしまうのだ