ただ、起訴したとしても、「公判を維持するのは難しそうだ」との声も少なくない。
 「株価操縦の中心的役割を担ったのは、昨年12月にガンで亡くなった大阪のUだ。彼が今回、逮捕された松浦正親が持つストリームの内部情報などをもとに作戦を立て、
仕手仲間とともに買い上がった。その本尊が亡くなったのでは、『指示はUから出た。それに従って買っただけで、株価操縦に関与しているという認識も意識もなかった』と、
他の人間に主張されると立件は厳しい」(証券関係者)
 しかし、捜査2課は、逮捕されたメンバーの証言と、各自の口座を特定したうえでの売買履歴の検証で、意思統一を図った「買い上がり」を確認した。
 それは捜査2課の粘りだが、この範囲にとどまったのでは、何のための捜査かわからない。
 というのも着手の時点で証券監視委と警視庁は、オーナーで中国籍を持つ劉海涛前会長(逮捕者が出た12日の時点で退任)及び、松浦正親容疑者が属している
六本木のクラブ経営や金融業などで急成長する「松浦大助グループ」の事件への関与を解明することが狙いだった。
 だが劉前会長は、強制捜査後、ほどなくして中国へ戻り、当局の度重なる帰国要請にも応じていない。
 その間、自らは会長に下がって明電舎OBのベテラン経営者を社長に招請。会社経営には遠隔操作で参加してきた。