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毎日新聞 2021/11/3 17:41(最終更新 11/3 19:34) 943文字




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空港から飛び立つ航空機=ドイツ南部ミュンヘンで2014年4月1日、AP

 「グラスゴー上空には偽善と熱気が漂っている」(英紙デーリー・テレグラフ)――。英グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締結国会議(COP26)に出席した各国首脳や企業家らは、専用機や自家用機を利用。その数は計約400機に上り、英メディアなどで批判的に取り上げられている。

 英紙ガーディアンによると、英国のジョンソン首相は、グラスゴーからロンドンに戻る際に4時間半かかる電車ではなく、専用機を使う。



 英首相官邸は、専用機の燃料の一部は環境配慮型だとしているが、ジョンソン首相は1日の首脳級会合のあいさつで「気候変動対策に取り組む時に、行動を伴わない言葉は無意味だ」と息巻いた。だが「説得力に欠ける」との非難を受けそうだ。

 航空機は乗客1人当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が鉄道より多くなることから、欧州では短距離の移動に鉄道の利用を促す機運が高まっている。



 また、同じ航空機でもたくさんの乗客を運ぶ民間機と比べ、専用機は乗客1人当たりの排出量がさらに増える。このため輸送に関する英国の環境活動家、マット・フィンチ氏は英メディアに対し「プライベートジェット機は輸送手段の中でもっとも汚染度が高い。気候変動会議の行き来に使うのは、完全に間違ったメッセージの発信になる」と訴えた。

 デーリー・テレグラフは「その最たるものがバイデン米大統領だ」とする。大統領専用機「エアフォースワン」と、それに同行する4機の大型ジェット機が米欧間を往復すると、約1000トンのCO2が発生すると指摘した。



 さらに、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長も専用機で現地入りしたとし「彼女はブリュッセルからパリやロンドンといった短距離を含め、海外出張の半分以上に『エアタクシー』を使っている」批判した。

 英紙インディペンデントは2日のCOP26の会合で、自然の回復などに20億ドル(約2280億円)の拠出を発表した米インターネット通販大手アマゾン・コム創業者、ジェフ・ベゾス氏がプライベートジェット機でやって来たことを紹介。ただ、ベゾス氏が気候変動対策のために設立した基金の担当者は、同紙に対し「環境配慮型の燃料を使い、排出されるCO2も全て相殺している」と答えた。【ロンドン横山三加子】