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2021年11月09日07時16分

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点字ブロックが整備されないままの新大阪駅前の歩道=8日、大阪市淀川区

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音響装置のない大阪・道頓堀の「グリコサイン」付近の信号機。バリアフリー基本構想では音響信号の整備は完了済みになっているが、実際の設置は限定的だ=3月18日、大阪市中央区




 大阪市が2006年までに作成したバリアフリー基本構想を見直す方針を固めたことが8日、関係者への取材で分かった。事業計画は10年を目標としていたが、整備が終わらないことを理由に修正していなかった。


 基本構想は高齢者や障害者らが使用する施設について、一体的なバリアフリー化を進めるため市町村が作成する。大阪市は構想を早期に策定するなど先進的な取り組みが評価されたが、障害者団体からは停滞を指摘する声が上がっていた。
 市は03〜06年、梅田や難波など主要駅周辺の25地区で基本構想を策定。構想に基づく事業計画は市内の全24区をカバーし、10年を整備目標として事業を進めてきた。
 音響信号の設置など完了した事業もあるが、歩道の段差解消などは現在も終わっていない。点字ブロック敷設の進捗(しんちょく)率が0%の道路は30本を超える。
 構想作りに携わった関係者は「多数の当事者が参画して策定した画期的な構想だったが、区役所の役割があいまいなことなどから、取り組みは急に失速した」と指摘する。
 基本構想の対象は06年のバリアフリー法制定で建物や公園、駐車場にも拡大された。大阪市の構想は旧交通バリアフリー法に基づくため、駅舎と鉄道車両、道路に限定されている。
 国は18年、基本構想について5年ごとの見直しを努力義務化し、当事者を交えた事後評価を求めている。しかし、港区を除く23区は当事者から継続的に意見を聞く場を設けていなかった。
 基本構想の策定に携わった三星昭宏・近畿大名誉教授(交通計画学)は「15年以上前の計画で、たなざらしになった課題は多い。バリアフリーの基準は絶えず更新されており、継続的な見直しが不可欠だ」と話す。