0001蚤の市 ★ [US]
2021/11/12(金) 20:04:24.74ID:aIRnqemq9「大部分を対象にできるということで、大きな分断には繋がらないと判断しました」
公明党の山口代表は首相との会談後、合意した支援策に満足そうな表情を浮かべた。与党党首の合意内容は、年内に18歳以下の子供に現金5万円を支給し、来年春をメドに使途を限定した5万円相当のクーポンを配布するというものだ。公明党は先の総選挙でコロナ禍の長期化を踏まえた子育て世帯の支援策として「一律10万円相当を給付」すると公約していた。
「私たちはお困りの方に経済的支援をするという書きぶりで政権公約をつくった。そうでない方に対して支援をするということは書いていない」
自民党の高市早苗政調会長は自らがまとめた公約とは異なる給付案への不快感をにじませたが、高校3年生以下の子供への支給を求める公明党は強気の交渉で臨んでいた。
最終的には対象世帯の約9割をカバーする「年収960万円」の所得制限を設け、マイナンバーカード所有者に最大2万円分のポイントを還元することで合意したが、こうした「バラマキ感が拭えない妥協の産物」(財務省関係者)は不評だ。
「カネ(現金)をくれ」
ネット上には「あまりにショボい」「意味不明の妥協点」「クーポンを作るのにいくら税金を使うのか」「これなら現金配るでいい」といった批判が相次いでいる。「同情するならカネをくれ」とは、名作ドラマ「家なき子」の主人公を演じた安達祐実氏のセリフだが、複雑でわかりにくい支援をするぐらいなら「カネ(現金)をくれ」との声もあがる。
自民党中堅議員の一人は「またも公明党に押し切られた」と冷めた見方を示した。岸田氏が公明党に「煮え湯」を飲まされるのは初めてのことではない。昨年春、自民党政調会長だった岸田氏は新型コロナウイルスの影響で収入が減少した世帯を対象に「30万円」を給付する内容で当時の安倍晋三首相と合意した。しかし、公明党は「一律10万円支給」を主張し、支持母体である創価学会と太いパイプがある自民党の二階俊博幹事長(当時)も修正を迫った。
連立離脱をちらつかせる山口代表の強硬姿勢を踏まえて、安倍首相は一度は閣議決定した2020年度補正予算案を組み替える異例の着地点を決断するほかなく、「はしごを外された形の岸田氏は一気に求心力が低下した」(自民党ベテラン議員)ことがある。1年半後、首相の座に就いた岸田氏が再び給付金をめぐる与党間の駆け引きに頭を悩ませていたのは間違いない。
では、なぜ岸田氏は2度までも「敗北」したのか。その理由には、1999年の自自公連立政権発足から続いてきた公明党・創価学会といまだ強固なパイプを築くことができず、本気度を見極められない弱点があげられる。強すぎる「与党共闘」が重くのしかかっているのだ。
公明党の集票能力
かつて、岸田氏が会長を務める自民党の名門派閥・宏池会の「プリンス」といわれ、首相候補と目された加藤紘一元幹事長は、公明党との連携をこのように評したことがある。「公明党は各選挙区で最低限8000票から2万票を持っている。かなり確実な集票能力がある政党だ」。小選挙区で自民党候補を応援する代わりに、比例では公明党への支援を融通する「バーター」は20年以上も続き、自民党候補者の得票を大幅にアップさせてきた。今や切っても切れないといわれるほど、その関係は自民党にとって手放せないものだ。(略)
かつての「下駄の雪」から…
当然ながら、岸田氏が3年間の自民党総裁任期中に目指す憲法改正は一気に遠のく。(略)
一昔前は自民党の意向には従う「下駄の雪」と揶揄された公明党だが、昨年からは連立離脱もちらつかせながら政策実現を訴える「主張する公明党」へと変貌した。
自民党内では高市政調会長が、10万円給付案をめぐり「自民党公約とは全く違う」と公明案を潰しにかかった。人事面でも安倍元首相の意向をあえて無視するなど反発を招いており、もし支持率が下がれば党内基盤がぐらつき、官邸の主は「家なき子」一直線となる危険もはらむ。(略)
小倉健一
デイリー新潮 2021年11月12日掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/11121525/?all=1&page=1