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2021年11月14日07時11分

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韓国大統領選候補の李在明前京畿道知事=10日、ソウル(AFP時事)




 【ソウル時事】来年3月の韓国大統領選に向け、革新系与党「共に民主党」候補の李在明前京畿道知事が「反フェミニズム」感情が強い「若年男性層」に接近している。若い男性に人気だった保守系最大野党「国民の力」の洪準杓氏は予備選で尹錫悦前検事総長に敗れ脱落。宙に浮いた洪氏支持層を取り込む狙いだ。
 「李在明が文在寅政権のフェミニズム優先の政策と差別化できれば支持を得られる」。李氏が8日、このようなインターネット上の文章を選対幹部に配布したことが波紋を呼んだ。文章は20〜30代男性が洪氏を支持した理由を分析したものだ。
 韓国の若者は不動産価格高騰による住宅難や就職難に悩まされ、特に男性には兵役義務により不利益を受けているという意識がある。文大統領は「フェミニスト大統領」を標ぼうして就任。女性団体幹部らを要職に登用した文政権の女性政策に対し、若い男性を中心に「男性への逆差別」「男性を潜在的性犯罪者と見なしている」といった反発が広がった。
 李氏は10日の記者会見で、文章配布について「こうした主張に共感する人が相当多い。無視せず向き合うべきだ」と説明。10日にはフェイスブックにも、李氏が「反フェミニズム」を鮮明にするよう求める「元洪氏支持者」の文を掲載した。5日の公認候補選出後に支持率が一気に上昇した尹氏に対し李氏は伸び悩んでおり、若年男性層に活路を見いだそうとする思惑は明らかだ。
 一方、尹氏も「フェミニズムが男女の健全な交際を妨げる」という趣旨の発言をして物議を醸したことがある。尹氏は候補選出の翌日、女性家族省廃止などを唱えて若い男性を中心にブームを巻き起こした36歳の李俊錫党代表と会談し一致結束を演出した。
 若年層は投票先を決めていない人が多く、選挙戦略のカギとなる。ただ、両候補のスタンスは男性寄りで、女性の不興を買うリスクと裏返し。「20〜30代の女性にとり史上最悪の選挙」(韓国紙記者)という声も出ている。