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2021年11月18日07時05分

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中国の大陸間弾道ミサイル(ICBM)=2019年10月、北京(AFP時事)




 【ワシントン時事】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は17日公表の年次報告書で、中国が核兵器開発に成功した1960年代以降、過去最大となる核戦力の増強と近代化、多様化を進めていると指摘した。「最小限の核戦力」のみを保持する従来の方針からの転換を示していると警戒感を示した。
 報告書は、中国が大陸間弾道ミサイル(ICBM)用の地下格納庫を270カ所以上建設しており、陸海空それぞれの領域で核兵器を運搬できる「核の3本柱」も完成に近づいていると分析。「中国の核戦力は約10年後に質的に、2030年には量的にも米国と対等になる可能性がある」と予想した。
 米国防総省も今月、中国が30年までに少なくとも1000発の核弾頭を保有する意図を有している恐れがあるとの見方を公表した。同省は昨年、中国の保有核弾頭数を「200発台前半」と推計していた。
 報告書はまた、中国が核戦力強化を続ければ、限定的な先制核攻撃を容認する戦略に切り替えることが可能になると説明した。核兵器の使用をちらつかせて地域諸国を威圧したり、米軍の前方展開基地に小規模の核攻撃を加えて地域紛争への米軍の介入阻止を図ったりする可能性もあるという。
 その上で「中国による核戦力の増強・近代化のペースや、中国とロシアの協力関係を考慮すれば、米国は抑止戦略と戦力態勢を見直す必要があるかもしれない」と提案。米国の抑止力を維持するため、バイデン政権は核戦力の近代化計画を継続すべきだと勧告した。