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2021年12月31日07時14分

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【図解】津波に強い海岸防災林




 林野庁は、今後発生が懸念される巨大津波からの被害軽減に向け、都道府県が実施する海岸防災林の整備に対する支援を拡充する方針を決めた。津波に強い根が深く張った樹木が育つよう、土地のかさ上げなどの基盤づくりや管理を一体で進める場合、国による補助率を引き上げる。2022年度予算案に関連経費を計上した。
 海からの潮風や砂の飛散などを防ぐために整備される海岸防災林は、津波を完全に抑えることはできないものの、内陸部への到達時間を遅らせる効果がある。ただ、地盤が低く、地下水の水位が高い場合、十分に根が育たず、津波で樹木が倒れやすいことが課題だ。
 そこで林野庁は、都道府県による土地の基盤づくりから植林、草刈りまで一体的な防災林育成を支援する。東日本大震災の被災地では、かさ上げした土地が硬く、樹木が育ちにくかったり、水がたまったりするケースもあるため、基盤の調査・改良、排水設備の整備も後押し。従来、植林や土地のかさ上げは経費の2分の1、草刈りや基盤の調査・改良などは3分の1を支援しているが、事業全体の2分の1を補助する。
 林野庁は、南海トラフ沿いや日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震の発生が想定されていることを踏まえ、補助率引き上げを通じ津波に強い海岸防災林の整備を加速させたい考え。市町村の津波避難計画に基づく浸水想定区域内で事業を行うなどの条件を満たす場合に、支援対象とする。