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毎日新聞 2022/1/7 12:42(最終更新 1/7 12:42) 616文字




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台湾の総統府=台北市中正区で2020年2月2日、福岡静哉撮影

 香港の裁判所が、弾圧で廃刊に追い込まれた民主派の香港紙「蘋果(ひんか)(りんご)日報」の運営会社の清算を認め、財産の差し押さえがグループ会社の台湾蘋果日報に及ぶことについて台湾当局が懸念を強めている。台湾当局は「取材資料などが不当に利用される恐れがある」として、差し押さえには台湾側で司法の許可を得る必要があると主張している。

 香港当局は昨年6月、香港国家安全維持法(国安法)に基づいて蘋果日報の発行母体「壱伝媒」(ネクスト・デジタル)と関連会社の資産を凍結。蘋果日報は資金繰りに行き詰まり、廃刊を余儀なくされた。



 壱伝媒の子会社は台湾で姉妹紙の「蘋果日報」を発刊してきたが、営業赤字を理由に昨年5月、紙媒体の発行を停止。電子版のみに切り替えた。親会社の事業停止後も独立採算制によってニュース配信を続けている。

 香港の高等法院(高裁)は昨年12月15日、壱伝媒に対し清算手続きを命じた。香港政府が「公共の利益のため」として清算を申し立て、これを認めた形だ。台湾で対中国関係を管轄する大陸委員会は、清算が台湾蘋果日報に及ぶことへの懸念を表明。「(台湾蘋果日報の)従業員の個人情報や取材資料が不当に利用される恐れがある。自由と人権が侵害される『黒い手』が台湾に侵入しようとするなら、法に基づき必要な措置をとる」と強調した。台湾蘋果日報は12月20日、「これまでのところ、香港当局から要求はない」との声明を発表している。【台北・岡村崇】