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毎日新聞 2022/1/27 12:46(最終更新 1/27 12:46) 661文字




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クロアチアのミラノビッチ大統領=首相官邸で2015年、藤井太郎撮影

 北大西洋条約機構(NATO)に加盟するクロアチアのミラノビッチ大統領は25日、ウクライナ情勢が悪化すれば自国兵をNATO軍から撤退させると発言した。ウクライナを支持するNATO加盟国の結束を乱しかねない発言は波紋を広げ、プレンコビッチ首相は26日、ウクライナに陳謝した。

 複数の地元メディアによると、ミラノビッチ氏は25日、国内の視察先で記者団に「ウクライナは世界で最も腐敗した国の一つだ」などと発言。クロアチアは、緊迫するウクライナ情勢とは無関係だとし、「情勢が激化した場合、クロアチアはいかなる部隊も派遣しない。反対に(東欧に駐留する)部隊を最後の一兵士まで呼び戻すだろう」と述べた。



 大統領の発言に対し、政府は対応に追われた。実際には、クロアチア兵はウクライナには駐留しておらず、ポーランドに駐留していた部隊も通常任務を終えて最近帰国していた。プレンコビッチ首相は26日、「政府の名において、クロアチアを最初に(国家)承認した国の一つであるウクライナの人々に謝罪したい」と陳謝。NATOとの協調を優先する考えを示した。

 現地報道によると、クロアチア大統領は軍の最高司令官でもあるが、NATOへの派遣は、議会の承認を得て国防省が行っている。プレンコビッチ首相が中道右派の与党・民主同盟なのに対し、ミラノビッチ大統領は中道左派の野党・社会民主党出身で、ねじれの関係にある。



 1990年代のユーゴスラビア紛争を経て独立したクロアチアは2009年にNATOに加盟。13年には欧州連合(EU)に加盟した。【ベルリン念佛明奈】