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2022/1/31 21:46
産経WEST


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自民党大阪府議団は31日、東京・永田町の党本部を訪れ、東京を首都、大阪を副首都と定義する法律の制定などを求める要望書を高市早苗政調会長に提出した。大阪の副首都化は日本維新の会が掲げる看板政策の一つ。自民府議団は今夏の参院選も見据え、政権与党のパイプを生かして改革姿勢をアピールし、維新に対抗する構えだ。

徳永慎市府議団幹事長は提出後、取材に「大阪・関西が首都機能をバックアップできるように党として支援していただきたい」と述べた。高市氏は「党として議論していきたい」と応じたという。要望書では「新たな感染症によるパンデミック(世界的大流行)や首都直下型地震などの危機事象に備える必要」があるとし、「首都・副首都基本法」(仮称)の制定意義を強調。新型コロナウイルスのオミクロン株の特性を踏まえ基本的対処方針を見直すことなど計7項目を盛り込んだ。

「反対」イメージからの脱却
こうした府議団の動きに対し、身内のはずの自民党大阪市議団には冷ややかな見方が広がる。市議団にとっては「唐突感がある」だけでなく、大阪市を廃止する大阪都構想をめぐる2度の住民投票で地域政党「大阪維新の会」と全面対決した経緯があるだけに、維新側との協力も視野に入れる府議団との温度差は否めない。

「これまで国とのパイプを生かせていなかった。改革を打ち出し、『反対』ばかりのイメージから脱却したい」。要望書の作成に携わった自民府議団改革プロジェクトチーム長の原田亮府議はこう強調する。

要望書提出の背景には、昨年の衆院選で府内15選挙区に擁立した公認候補が、日本維新の会候補に全敗した反省がある。

府連が敗因分析を依頼した広告代理店の報告書は、自民について「大阪では二番手の『弱者』」と指摘。情報発信力の強化に加え、統一の政策や、ブランドにつながる一貫した姿勢を掲げて存在意義を示す必要があると提言した。

原田氏は「副首都の定義づけは維新も望んでおり、協力できる。時間をかければ(自民)市議団をはじめ府連内の同意も得られるはずだ」と話すが、ことはそう単純ではなさそうだ。

「改革パフォーマンスだ」
現状、首都や副首都の法律上の位置づけは明確ではない。維新が掲げる副首都法制化を「国とのパイプ」で実現すれば自民府連の浮上が期待できる半面、維新のお先棒を担ぐことにもなりかねない。市議団の懸念や危惧はその点にある。

ある市議は「制度の議論もせずに副首都の話をするのはおかしい。(令和2年11月の)住民投票から、まだ1年ほどしかたっていないのに違和感がある」と不快感を示す。複数の市議が「府議団が単体でやっている」「(自分は)関与していない」と口をそろえた。

府連幹部も「大阪が副首都機能を担うのは賛成」としつつ、今回の要望は「府連として出しているものではない」と一線を画す。別の市議は、来春までに参院選と統一地方選が行われることを念頭に「府議団の行動は維新に寄せた改革アピールのパフォーマンスだ」と突き放した。