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2022/02/01(火) 20:30:31.86ID:qgjY1peW9毎日新聞 2022/2/1 18:54（最終更新 2/1 18:54） 1255文字
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東京五輪招致委員会の会見で記者の質問に答える（左から）石原慎太郎都知事、小谷実可子理事、河野一郎・事務総長＝デンマーク・コペンハーゲン市内のホテルで2009年10月1日午前11時20分、尾籠章裕撮影
元東京都知事の石原慎太郎さんが1日に亡くなったことを受け、東京オリンピック招致に長らく関わってきた政府関係者はこうつぶやいた。「石原さんがいなければ五輪招致はできなかった」
2016年夏季五輪招致に敗れた東京だったが、東京五輪の再挑戦に道筋をつけたのが11年東日本大震災後に4選を果たした石原さんだった。
招致関係者の多くが石原さんの思い出として口をそろえて振り返るのが、リオデジャネイロに敗れた09年の国際オリンピック委員会（IOC）総会だ。広告大手の支援を受けたスポーツ界主導で招致活動に挑んだこともあり、日本は政財界が一枚岩となって臨めなかった。IOC総会では東京の票は伸びず、2回目の投票で早々と姿を消した。石原さんが帰りの機中で都職員や関係者の前で人目をはばかることなく涙を流し、謝罪して回ったことは語り草だ。
都知事として剛腕で鳴らした石原さんだが、IOC相手となると思い通りにいかなかった。ある政府関係者は東京五輪の開催が決定した13年9月、国内の会合で石原さんが「もうこれでIOCの連中と付き合わなくていい」と叫んだのが忘れられないという。「石原さんは本気で東京に五輪を呼びたかったと思った。プライドの高い石原さんは内心、はらわたが煮え繰りかえりながらIOC委員らに頭を下げていたに違いない」
東京五輪を通じてIOCの独善的な体質はあらわになったが、招致活動の最前線で誰よりも感じていたのが、石原さんだった。
だからこそ、スポーツ界は再び立候補に名乗りを上げたことに感謝する。東京五輪・パラリンピック組織委員会の荒木田裕子副会長は、都が正式に立候補を表明した11年7月の日本体育協会（現日本スポーツ協会）と日本オリンピック委員会（JOC）の創立100周年記念祝賀式典をこう振り返る。「石原さんがたいまつの火を消さないと言ってくれた。JOCは血みどろになって戦えと言ってくれたことが忘れられない」
とはいえ、1964年東京五輪も作家として観戦した石原さんにとって五輪は純粋なスポーツの祭典ではなく、日本の存在感を示すための舞台装置にほかならなかった。16年五輪招致で「環境五輪」を掲げて臨みながら、再挑戦の際には「復興五輪」という全く異なる理念を持ち出したのも、招致レースの現実が理念だけで決まるものではないと知ったからだろう。19年2月の毎日新聞の取材に「役人のレトリック（巧みな言い回し）だろ」と語ったのも、招致活動の実態を思えばうなずける。16年五輪招致では、ブラジル・オリンピック委員会会長だったカルロス・ヌズマン氏がIOC委員の買収に関与したとして禁錮30年11月の判決が昨年11月に言い渡された。
一方、東京五輪の理念のあいまいさは最後までつきまとうことになった。「復興五輪」を掲げたはずの東京五輪は新型コロナウイルスの影響による史上初の延期を受けて、「コロナに打ち勝った証し」のためのものとなった。国が開催ありきで突き進み、国民の間に賛否両論を巻き起こした。【田原和宏、小林悠太】
