https://www.jiji.com/jc/article?k=2022021700755
2022年02月18日07時04分

https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202202/20220217at33S_p.jpg
アンドルー英王子=2019年9月、ベルギー・ブリュージュ(EPA時事)




 【ロンドン時事】エリザベス英女王の次男アンドルー王子(61)が、王子から性的虐待を受けたとして民事訴訟を起こしていた米国人女性(38)と和解した。これにより法廷での論争は行われず「王室へのさらなる汚辱」は避けられた形だ。ただ、王子をめぐる疑念が晴れたわけではなく「疑問は多いが答えは示されない」(英紙ガーディアン)状況に変わりはない。
 両者は15日、ニューヨークの米連邦地裁に共同で文書を提出。この中で王子は、女性が「虐待の被害者だ」と認め、女性の慈善団体に「相当額の寄付」をする考えを表明した。「寄付」は事実上の和解金に当たる。額は不明だが、各種報道によれば1000万〜1200万ポンド(約16億〜19億円)に達するもようだ。一部は女王が私費で肩代わりするとも伝えられる。
 和解により、今年後半に予定された裁判は開かれない。訴訟は幕を閉じる。今年は女王の即位70周年(プラチナ・ジュビリー)で、王子の裁判が祝賀ムードに水を差す事態は取りあえず回避された。一度は法廷で戦う姿勢を鮮明にした王子が、多額の「和解金」を支払っても幕引きを急いだ背景には、祝賀への影響を懸念する王室の強い意向が働いたともみられている。
 裁判前の決着はついた一方、王子にまとわり付く疑念は消えないままだ。訴えを一貫して否定し続け、女性と会ったことを「覚えてもいない」と言い切った王子が、裁判を前に和解に持ち込んだ行為自体、疑問を生じさせている。訴訟は取り下げられても王子が「世論の審判から逃れるのはほぼ不可能」(ガーディアン)で、メディアなどの追及は今後も続きそうだ。