デスク日誌(4/24):たかが1文字
https://kahoku.news/articles/20220424khn000005.html

2022年4月24日 10:00

 本紙朝刊1面のコラム「河北春秋」は、新聞記事としては珍しく字数が決まっている。行替えの代わりの四つの「▼」を含めて519字。体裁上、1字でも多いと収まらないし、足りないと見栄えが良くない。

 執筆者は記者経験が長いだけに、字数を合わせることは、さほど難しくない。厄介なのは、「約物」と呼ばれる句読点やかっこ類の扱いだ。

 句読点と下かっこが行頭に、上かっこが行末に来た場合、字の間を広げたり詰めたりする「禁則処理」を自動的にしてくれる。字の間が広がれば1字分増えるし、詰めれば1字分減る。

 しかも、冒頭に「河北春秋」の切り込みが4字×6行ある。これも考慮しなければならない。

 初稿段階では、禁則処理が必要な箇所が複数出ることがある。文字を加えたり削ったりして直すと、新たに修正が必要な箇所が出ることも。それを繰り返していると、泥沼にはまったような気になってくる。

 はたから見ると、何をやっているのかと思うかもしれない。でも、たかが1文字、されど1文字。原稿を前に呻吟(しんぎん)しているこちらは至って大真面目だ。

(論説委員長 宮川宏)