林芳正外相は18日、都内で韓国の朴振(パク・ジン)外相と会談した。日韓関係の悪化の引き金となった元徴用工問題の早期解決で一致した。朴氏は韓国内で差し押さえられた日本企業の資産が現金化される前に解決策が出るよう努力する方針を示した。

韓国で5月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足して以降、正式な会談は初めてだ。夕食を交えた話し合いを含め、合計2時間半にわたって協議した。

朴氏は問題の調整に向け、7月に立ち上げた韓国政府や専門家らによる官民協議会での議論を林氏に説明し、日本側に理解を求めた。

日本の外務省によると、林氏は「1965年の日韓国交正常化以来、築いてきた基盤に基づき、韓国側が責任を持って対応すべきだ」と伝えた。両氏は協議を加速すると申し合わせた。

元徴用工を巡っては2018年、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる判決を下し問題化した。日韓は1965年に請求権協定を結び、戦時中の徴用の問題は解決済みだと整理した。日本は韓国へ日本企業に実害が及ばない解決策を示すよう求めてきた。

日韓が2015年に結んだ慰安婦問題に関する合意の履行が止まっている問題も協議した。

朴氏は同日の会談に先立ち、羽田空港で記者団に「両国政府間の公式合意であり、尊重されなければならない」と明言した。

韓国外務省によると、朴氏は銃撃で死去した安倍晋三元首相の死去に触れた。「日本国民が衝撃と悲しみを克服することを願う」と述べ、哀悼の意を伝えた。

日本経済新聞 2022年7月18日 18:15 (2022年7月19日 5:11更新)
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